2016年12月28日、東京へコミケ遠征ついでに、東京は銀座のソニービル建て替え間際なんでソニーの歴史を回顧る展、正式名称「It’s a SONY展」を見に行ってきた。
最近のソニーは金融屋さんだって。でもね、ソニー黄金期を体感してきた昭和世代にとっては、ソニーはかっこいい電気機器、いやちがうな、なんかおもしろいプロダクトをばーんとやってくれる、そんな感じ。
AV機器を検討するなら先ずはソニー、そして他者比較、ベンチマークである。んだが、ベンチマークにはならない。ソニーのプロダクトは割り切りが極端なので。初代ウォークマンの時代、カセットテープはレコードやラジオから「録音」して「聴く」メディア。なのに、そのインプットである録音機能が無いのである。普通はそんな製品が成り立つ訳がないのである。あとヘッドフォンとは自宅で音楽を楽しむ際に近所迷惑を回避するためのであった。
個人的に最期のソニーらしいばーん!は初代プレイステーション。家庭用ゲーム機はアーケードの最先端ゲームを茶の間のお座敷で再現てな、あくまでも疑似体験が売りである商品を、現役バリバリのRISCチップ一点集中、まさかのアーキテクトで最新3Dから極上パロディウスまで動作させちゃう、うん、理屈ではわかってたが、当時主流スプライトアーキテクトをぶっちぎるブレイクスルーにゃほんと腰が抜けた感。それ以降、まぁPS2以降はその正常進化系、PS4にいたっては家庭用における据え置きゲーム機ってなコンセプトの割り切りにはたしかに納得はできるが、手に触れるハードウェア部分に心が揺れ動く事は全くなかった。
今のソニー、そんなの出てくる感じ全くない、でもそんなソニーの過去の面影のキラキラは見ておきたい、そんな後ろ向きな気持ちで足を向ける。
順路は基本年表順、自分もしらないソニーの神話の数々、当時は今と違い「モノ」が強かった。そんな時代にソニーは、このソニービルという「箱モノ」をばーんとぶっ建てる。80年代の自分が知るソニーのアレだ。たぶん社風なんだろう。
ウォークマン。なんだろう、どのモデルも知ってる。俺が持ってなくても高校のクラスメートのみんなが持ってたから。普通の生徒が普通にソニーの買って普通に登下校時や休み時間に使う。たぶんガジェットおたくでもない彼らは購入前にカタログを舐めまわしたりしない。たぶん近所の電気屋に行って一番カッコいいヤツを買っただけなんだろう。それが当時のソニーのウォークマンなんだと思う。
俺は高校時代、兄のお下がりのAIWAのウォークマンン(あんだけ長期間愛用してたのに正式名称すら知らんのよ)を高校ともども卒業しバイトで稼いだ金で、買うのは、当然、ウォークマン(WALKMAN PROFESSIONAL WM-DD9)である。そしてCDがバカスカ買えるようになってからはディスクマン、そんな昔話はいいか。壁一面のウォークマン主要モデルの展示は、泣ける。ソニーのプロダクト自体も泣けるが、まぁ若い頃とリンクするヤツは年を重ねると、ダメだな。
トリニトロン管、いいよね、プロフィールプロ、欲しかったなぁ。(ひょんな事から年明け早々に中古のマスモニPVM-14M1Jを入手りキレイでうっとり)
NEWSワークステーション、実物初めて見たわ。そんなこんなで90年代はプレイステーション、2000年代は、そういやVAIOのC1愛用してたな。展示すべきは505で妥当なんだろうけど、C1良かった。工場の液晶切り出しサイズから逆算しての設計な今では難しいけど、全うなキーボード搭載のコンピュータとしてこれ以上の引き算も足し算もあり得ないドンピシャなサイズ。車(SVX)のダッシュボードに固定してPCカードからGPS出してカーナビやディスクイメージ経由でToHeartしたりと大活躍であった。なんだかんだでソニーはいつでもそばにいたんだな。
アイボ、いまでも愛されてるんよね。ローリー、当時のソニーの空回り感が部外者なのに見てて苦しかったな。ハードウェアで独自性が出せる時代が終焉を迎えたんだなぁって。で、あのソニーがお出しするメニューがコレかよって。。。ビデオカメラでもついてて人体に反応して自動アクション&スナップ撮影機能とかあれば面白かったかもね。
クリップオン、もう見た目がカッコいいし、このハードディスクにとにかく溜め込みするから気に入ったヤツ見ろ!な割り切り感(当時は録画したTV番組の貸し借り、もしくは長期保管が普通)はウォークマンを思い出させたよ。ちと時代が早すぎた(HDDの容量が30GB!)かもしれんが、この経験値は後のテープメディア以降のユーザインターフェースに役立ってると思うな。コレ出したのってまだVHSが主流の録画DVD前夜なんだぜ。
いや、もう昔話はいいって!
あ、同時にサウンドプラネタリウムてなメガスターを普通の室内でネオン的に動作させて音楽聴くてなイベント開催してたんだが、うーん。。。音響が悪すぎて、コレならしないほうがいいレベル。入口にソニーの民生用高級オーディオ使用してますてな展示あるんだが、音なんぞ部屋のセッティングに大きく依存するからこれら機器が悪い出来なんて事ではないんだが、ちとヒドかったな。残念。(これら家庭用オーディオ機器を使用せずに業務用のでスピーカー数並べて位相だしゃ全然マシなレベルに持っていける筈なんでもったいない)
で、2018年の夏にソニーパークとして戻ってくる「箱モノ」にどんなモノが収まるのか、またどんなモノを収めるつもりでビルをリニューアルするのか?こんなのにしてほしい、とかは全然思わないし考えるつもりも提案なんておこがましい。びっくりさせてくれ、それが俺にとってのソニーかな。
てかなんで急に思い出したかの如く、ソニーよいしょ記事を書いたかってと、久々にスマッシュヒットなソニー製品を購入してご機嫌だからだ。
ソニーのウォークマンの名乗りに恥じない「NW-WS413」なんかいい愛称なかったの?海水にも防水で泳ぎながらもな水陸両用スポーツ仕様ヘッドフォン一体型ワイヤレス装着タイプなんだが単機能猪突猛進タイプ。その仕様追及のために手段も手数も惜しまない。そんなプロダクト。いい。
=そういや=
近年、というか2ちゃんねるなどの匿名掲示板が流行してからかなぁ、「ソニータイマー」の意味が「ソニー製品が(すぐに)壊れる」てな完全悪評として使われるようになりましたが。。。
大昔(90年代前半ぐらいまで)は、ソニーの製品がよく壊れる、ってまでは正解なんだが、それでも魅力的なプロダクツであり、んな事は判ってても初期ロットを即ゲットだぜ!てなソニーファンの自嘲気味な自虐ギャグの一環であったような。
加えて、ソニーの製品のよく工夫された構造に、故障する事ですら管理されているのでは?な(良)評価の一端な意味も含まれていたような。
そもそも一般人はあんまソニー製品買わないよね。基本白物家電やってないし、ご家庭のソニーといえばテレビぐらいなんだが、そもそも近所の白物家電と同じ「町の電気屋さん=東芝や日立なんかの特約店」でまとめてお世話になるから、もうソニーのアレ!って指名買いするような人たちしか買わないんよね。大型家電量販店が進出してその構造が崩れてからなのやもしれんな、ソニータイマーの意味の偏移は。
あ、そもそも都会だと秋葉原や大阪の日本橋みたく選択肢はあるが、地方はね。
ちと想像部分が大きいんで、あんま信用しないでね。でも80年代のソニータイマーは「壊れやすい」だけの悪評の意味ではなかったよ。