ウンブレイカブルと書いて「アンブレイカブル」の悲劇。
サミュエルさん主演の「シャフト」
マッチョな黒人がコジャれたスラング全開でモテたり正義だったりする映画。
そんな映画の上映前の予告編にて、アンブレイカブルとファーストコンタクトを果たす。
暗い色使いで暗黒っぽいサスペンス、謎の生還劇。で、ショボさ全開サミュエル君。
これはサイコ物と見せかけつつも、確りとプロットを練り上げた良質ドラマを感じさせるに
充分な期待感お腹一杯な予告編。映画館に逝かねば。と強く感じるが結局逝かずじまいに。なった。
それから約一年が過ぎた。
そのとき映画館に同席したBR氏とDVD屋を散策中、
アンブレイカブルを指差し、「おもろなかった、途中で寝た。」と発言。
映画本編が面白くなかったから寝た、のやら、寝てしまったから面白くなかったのが謎。
だが、結論として一つ言えることは、「DVDを見直そうとは思わなかった」ということだ。
んでもって、まだ昨年の予告編のよさげな雰囲気が脳髄に染み付いている半信半疑な
おいらに決定的っぽい発言が耳にはいる。
S氏曰く「DVD買ったけど、おもんなかったで。」
てなわけで、シベリヤ超特急と引き換えとなり、我が家に鎮座する「アンブレイカブル」。
でも、おそらく面白くないと判っている物に、1時間30分位も時間を割くのは大変苦痛な訳で、
放置プレイが続いていたのだが、とうとうその封印が引き裂かれた。上映開始。
で、結論から述べると、「面白かった」である。
じゃ、なんで、こんなにも、面白くない派閥が幅を利かせているのかを考察する。
この映画って、最近のダークっぽい雰囲気(ジャンル名は不明で適当っす)なアメコミの
実写映画化なのである。サスペンスでもサイコでも列車事故パニック物でも
PSD(だっけ?)物でもぜーんぜんなくって、「仮想アメコミの実写映画化」なのである。
途中でコレにきずいて、しかもネタがメタだってニヤリとしたペーソスのお笑いに
気が付くと、がぜん面白いのである。
で、これに気が付かなかった場合、駄作ではなく眠い映画の仲間入りである。
この映画にはアメコミ(設定からツボやら落としどころに至るまで)以外の
クロスオーバーな要素は一切無い。よって楽しみどころがピンポイントである。
そして、すべてが現実に比べてデフォルメされた表現である。
主人公はスーパーヒーロー。以上の説明がなされないあたりも映画的にはきつい。
超有名アメコミの映画化である「X−MEN」ですら、もう一寸真っ当な説明があるにも関わらず、
この映画では無い。これはもう、作為的であると考えるのが正解ではなかろうか。
だが、これらの要素も自家中毒的なアメコミネタとして見直すと俄然、にやりと笑える。
劇中ではアメコミが、そして現実世界では映画が。入れ子構造的なネタもいい。
その多段シフトが、この映画を通常に見る人にとっては、現実世界→アメコミ世界となる。
気が付いた人ならば、現実→映画→アメコミになるのだが、土壌がない人にとっては、
劇中劇的な段差を置かずにいきなり突きつけられるアメコミ世界でショッキングで意味不明。
しかも最後の最後まで映画の方法論での映像表現。気が付かずに終了。駄作の三段論法。
スパイダーマンをサスペンス物だと思って見に行く人はいないでしょ?
X−MENの超能力に詳細な設定がないのはリアリティに欠けるって?
デズニィ映画に大殺戮が無いから駄作って人は見に行かなかったらいい訳で。
結論:
邦題を「アンブレイカブルマン〜下町の正義マン参上!〜」に変更する。
そうじゃなかったら、間違って映画館に紛れ込んだ層にも楽しんでもらえる
エンターティメント要素をもう一寸、判りやすい形で入れてください。
ちなみにBR氏はもっと電車パニック描写があれば・・・と語っておられました。
個人的には、続編っていうか、完結編があったら見てみたい気分である。
反省点:
個人的にマニヤックかつタイムリー、自己顕示欲を示せるネタに、
ついつい過大評価をしている自分がいるような気がする・・・
アメコミ的読解力があると思われているBR氏の評価が低いってのも、
ひょっとすると、おいらの批評が甘すぎるのやも・・・